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裁定の帝国:米国の拡大と国際法の転換(Arbitrating Empire)

Allison Powers

書籍情報, 紛争解決, 歴史

2024年12月11日

本書は,グローバル・パワーとしての米国の出現に関する新たな歴史を提示する。それは,米国政府を国際的な法的監視から隔離しようとする試みと同様に,世界中に影響力を及ぼそうとする努力によって形作られたものである。 本書は,米国,メキシコ,パナマ,英国における広範なアーカイブ調査をもとに,1870年代から1930年代にかけて,米国の領土で権利を奪われた何千人もの住民が,生命と財産に対する国際的な法的保護に違反するとして米国を告訴するために国際請求権委員会に請求を行った経緯をたどっている。


著者は,そこでの予期せぬ請求の結果に注目することで,植民地化された臣民,奴隷制度からの難民,移民労働者たちが,アメリカ帝国による介入の合法性を立証するために設けられた一連の法廷を,米国による植民地統治の正当性に異議を唱える場へと変化させたことを実証している。 国際法の最初の社会史のひとつである本書は,20世紀半ばの国際秩序を再構築することになる主権と国家責任の意味をめぐる争いが,外交会議の場だけでなく,アリゾナの銅山,テキサスの綿花畑,サモアの港湾都市,キューバの砂糖プランテーション,パナマ運河の閘門や停車場でも繰り広げられたことを論じている。


本書は,米国が世界帝国になりつつあった数十年間,一般市民が国際法を用いて,国家による暴力の責任をどのように追及したかを明らかにし,彼らの主張を黙殺とした国務省の試みが,なぜ今日まで米国政府の責任を回避し続ける形で国際法を変容させたのかを実証している。


https://global.oup.com/academic/product/arbitrating-empire-9780190093006

Introduction: The Subjects of International Law

Part I: Dispossessions
Chapter 1: Arbitrating Debt
Chapter 2: Arbitrating War
Chapter 3: Arbitrating Citizenship
Part II: Exposures
Chapter 4: The World's Easement
Chapter 5: Dangerous Precedents
Part III: Foreclosures
Chapter 6: Sovereign Inequalities
Chapter 7: The Specter of Compensation

Conclusion: Life and Property

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