国際法勉強会
Alec Stone Sweet, Wayne Sandholtz
書籍情報, 人権, 紛争解決
2024年12月16日
法学と社会科学の視点を組み合わせた本書は,6つの地域の人権裁判所の起源と発展について解説している。 いずれの裁判所においても,裁判官は,体制を失敗作へと追い込む恐れのある政治的勢力や法的障害を克服しようと努めた。 本書で著者らは,マルチレベルの「国境を越えた司法制度」の中で,権利保護の水準を高めるための闘いに焦点を当てている。 トランスナショナルな司法制度とは,権利憲章,憲章の執行を任務とする裁判所,権利が侵害されたと主張して裁判所に申し立てる個人の権利,という3つの要素から構成される。本書は,拷問,非人道的な扱い,非差別,適正手続き,司法へのアクセス,表現の自由,私生活と家族,その他の自由など,多様な分野におけるこのような制度の法と政治を分析している。 国の公務員が権利保護の実効性を高めることを強く支持している場合もある。 また,裁判所の活動が大きな政治的「反発」を生み,国家当局者が裁判所の権限を抑制する行動をとったり,政権から完全に退場したりする場合もある。 本書はこうした試みについて説明し,評価するものであるが,その結果はまちまちであり,裁判所を抑制する運動のほとんどは失敗に終わっている。
【目次】
1. Introduction
2. The European Court of Human Rights
3. The Inter-American System of Human Rights
4. The African Regional Courts
5. Absolute Rights
6. The Qualified Rights
7. The Dilemma of Effectiveness