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​文献情報(2024年)

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2024年12月30日

国際法と分野間の境界の重要性(International Law and the Significance of Disciplinary Boundaries)

Ulf Linderfalk, Eric De Brabandere

書籍情報, 国際法一般

過去30年ほどの間に,国際法と法実務はますます専門化し,多様化してきた。 このような発展は「特別レジーム(special regimes)」と呼ばれるような,ますます多様化する法実務を伴うものである。 本書は,国際法のさまざまな分野の専門家が,なぜ同じようなことを異なるやり方で行うのかを説明するために,特別レジームという概念についての新たな理解を提案する。 本書は,Etienne Wengerの「実践の共同体」理論の意味において,特別レジームは実践の共同体として考えるのが最適であると主張する。 本書では,実践共同体の理論が国際法の文脈と特別レジームの概念にどのように翻訳されるかを探求している。 著者らは共同体の構成員の行動に焦点を当て,その理論を調査するための革新的な方法論を構築し,この方法を選択したケーススタディに適用することで,国際法における特別レジームの理解に独創的なアプローチを提供している。

2024年12月20日

国際法講義 第4版

鶴田 順

書籍情報, 海洋法

第1章 国際法における国家の権限行使—国家管轄権の行使—

1 国家管轄権とは

2 国家管轄権の行使の根拠

3 犯罪人引渡し

4 外交官の特権免除


第2章 日本における国際法の実施

1 国際法の法源

2 国際秩序の捉え方と国際法による規律

3 条約の国内実施のための国内法の整備と行政機関による執行

4 日本の国内法の観点からみた条約の国内実施のための国内法整備の意義

5 各論:日本における国連海洋法条約の実施


https://www.seibundoh.co.jp/pub/products/view/15403

2024年12月20日

概説国際法

加藤信行,萬歳寛之,山田卓平(編集)

書籍情報, 基本書

オーソドックスな構成のもと,ICJ判決などの事例を挙げながら分かりやすく解説する,「実定国際法をひととおり明らかにする」概説書。詳細な図表や,現在の国際情勢にも踏み込んだ内容のColumnも充実。国際法の基礎を固め,理解を深められる一冊。


https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641046979

2024年12月19日

越境サイバー侵害行動と国際法 ― 国家実行から読み解く規律の行方

中村和彦

書籍情報, 国家

国境を越えた不正アクセス、経済的損害、インフラ損壊、選挙への介入・影響力行使等、実行主体の如何に拘らず、喫緊の脅威にどう対応できるか。まさに、いま日々起きている現実に対峙するための、各国の立場やあり得べき国家実行の方向性等を考究。


https://www.shinzansha.co.jp/book/b10107789.html

2024年12月17日

国際犯罪を立証する(Proving International Crimes)

Yvonne McDermott

本書は,ジェノサイド,戦争犯罪,人道に対する罪などの国際犯罪を立証するという超大かつ複雑な課題に,国際刑事裁判がどのように取り組んできたかを解明する。 これらの犯罪の規模および範囲,そしてその実行と訴追の間の時間的・空間的距離がもたらす課題はよく知られている。 それにもかかわらず,捜査官,法律家,学者,政策立案者は,国際犯罪を立証するための証拠の収集,保存,提示,分析においてどのような基準を充足する必要があるのかを確立するために,しばしば国際刑事裁判の法律と実務に注目する。 本書は,これまでの国際刑事裁判所や国際刑事裁判における証拠に関する法律と実践を包括的に説明するとともに,今後の実践に向けた提言を提供することで,今後の犯罪に関する国内的,地域的,国際的なアカウンタびりティ・プロセスへと情報を提供することを目的としている。


本書は,国際刑事裁判所および法廷の法的・手続的枠組みに組み込まれた柔軟性により,国際刑事証拠法はしばしば予測不可能で不確実であることを示す。 このため,著者は,「判断の正しさrectitude of decision」と「最高水準の公正さhighest standards of fairness」という2つの指導原則に基づく首尾一貫した認識論的枠組みの構築を主張している。


リンク:https://global.oup.com/academic/product/proving-international-crimes-9780198842972

2024年12月16日

国際人権裁判所の法と政治

Alec Stone Sweet, Wayne Sandholtz

書籍情報, 人権, 紛争解決

法学と社会科学の視点を組み合わせた本書は,6つの地域の人権裁判所の起源と発展について解説している。 いずれの裁判所においても,裁判官は,体制を失敗作へと追い込む恐れのある政治的勢力や法的障害を克服しようと努めた。 本書で著者らは,マルチレベルの「国境を越えた司法制度」の中で,権利保護の水準を高めるための闘いに焦点を当てている。 トランスナショナルな司法制度とは,権利憲章,憲章の執行を任務とする裁判所,権利が侵害されたと主張して裁判所に申し立てる個人の権利,という3つの要素から構成される。本書は,拷問,非人道的な扱い,非差別,適正手続き,司法へのアクセス,表現の自由,私生活と家族,その他の自由など,多様な分野におけるこのような制度の法と政治を分析している。 国の公務員が権利保護の実効性を高めることを強く支持している場合もある。 また,裁判所の活動が大きな政治的「反発」を生み,国家当局者が裁判所の権限を抑制する行動をとったり,政権から完全に退場したりする場合もある。 本書はこうした試みについて説明し,評価するものであるが,その結果はまちまちであり,裁判所を抑制する運動のほとんどは失敗に終わっている。


https://global.oup.com/academic/product/the-law-and-politics-of-international-human-rights-courts-9780198922216

2024年12月12日

国際法における政府承認(Recognition of States in International Law)

Pavle Kilibarda

書籍情報, 国家

国家承認は国際関係においてよく見られ,国際法の議論においても中心的な位置を占めているが,その性質と法的効果については21世紀に入っても論争が続いている。 国家承認が国家の誕生において基本的な役割を果たすと考える者がいる一方で,承認に法的価値があることを否定する論者もいる。 いずれにせよ,国権が争われるいかなる事案をめぐる議論も,遅かれ早かれ,他国による承認,あるいはその欠如の問題に転じることになる。


本書は,国際法の主体であり原初的な存在である国家の創設において,国家性を絶対的あるいは経験的事実empirical factとし,承認を単に宣言的なものとする広範な見解に異議を唱えるものである。 パレスチナ,コソボをはじめとして,ソマリランド,ウクライナ東部まで,様々な紛争国家の比較分析に基づき,様々な状況における承認行為の規範的価値と効果を,国際法の適用規則から国家性が推論される場合,承認によってのみ国家性が説明される場合,国際法規範によって国家の樹立が阻止される場合を区別して確認しようとするものである。 本書は,承認に関連するさまざまな問題を論じるだけでなく,承認の歴史,各国政府の立場,国内外の法理を幅広く批判的にまとめた最新の概説書である。


https://global.oup.com/academic/product/recognition-of-states-in-international-law-9780198905653

2024年12月12日

国際法の亡霊(Ghosts of International Law: The Figure of the Foreign Fighter in a Cultural Perspective)

Alberto Rinaldi

国際法一般

https://www.cambridge.org/core/books/ghosts-of-international-law/7CF6A0F9CA93B716F2061304957BE97D

2024年12月11日

裁定の帝国:米国の拡大と国際法の転換(Arbitrating Empire)

Allison Powers

書籍情報, 紛争解決, 歴史

本書は,グローバル・パワーとしての米国の出現に関する新たな歴史を提示する。それは,米国政府を国際的な法的監視から隔離しようとする試みと同様に,世界中に影響力を及ぼそうとする努力によって形作られたものである。 本書は,米国,メキシコ,パナマ,英国における広範なアーカイブ調査をもとに,1870年代から1930年代にかけて,米国の領土で権利を奪われた何千人もの住民が,生命と財産に対する国際的な法的保護に違反するとして米国を告訴するために国際請求権委員会に請求を行った経緯をたどっている。


著者は,そこでの予期せぬ請求の結果に注目することで,植民地化された臣民,奴隷制度からの難民,移民労働者たちが,アメリカ帝国による介入の合法性を立証するために設けられた一連の法廷を,米国による植民地統治の正当性に異議を唱える場へと変化させたことを実証している。 国際法の最初の社会史のひとつである本書は,20世紀半ばの国際秩序を再構築することになる主権と国家責任の意味をめぐる争いが,外交会議の場だけでなく,アリゾナの銅山,テキサスの綿花畑,サモアの港湾都市,キューバの砂糖プランテーション,パナマ運河の閘門や停車場でも繰り広げられたことを論じている。


本書は,米国が世界帝国になりつつあった数十年間,一般市民が国際法を用いて,国家による暴力の責任をどのように追及したかを明らかにし,彼らの主張を黙殺とした国務省の試みが,なぜ今日まで米国政府の責任を回避し続ける形で国際法を変容させたのかを実証している。


https://global.oup.com/academic/product/arbitrating-empire-9780190093006

2024年12月5日

国際投資仲裁における仲裁判断(The Award in International Investment Arbitration)

Katia Fach Gómez, Catharine Titi (eds.)

書籍情報, 投資, 紛争解決

本書は,国際投資仲裁における仲裁判断に関する包括的な研究書であり,実務家と学者の双方にとって有用な,国際投資仲裁判断に関する特異な参考文献であり,権威ある随一の文献である。 本書は,仲裁判断の起草からそれを支配する手続原則まで,仲裁審議と法廷力学から仲裁判断後の課題まで,意思決定におけるジェンダーの役割から法廷書記官の影響まで,仲裁判断を包括的に検討する。 複雑な紛争における事実認定,専門家の役割,法的推論と説得など,実践的なトピックを厳選し,実務家のニーズに重点を置いている。 現代的な課題に敏感な本書は,時代とともに発展してきた既存の問題だけでなく,裁定の起草におけるテクノロジーの影響など,まだ十分に注目されていない斬新なトピックも取り上げている。


本書は,現代の投資仲裁シーンにおける大物仲裁人,学界および国際的な法律実務の専門家というユニークな顔ぶれを一堂に集めることで,このテーマに関する知識と経験を,多様な角度や視点から引き出した唯一無二の知識を提供する。


https://global.oup.com/academic/product/the-award-in-international-investment-arbitration-9780192872968

2024年12月4日

国際法からとらえるパレスチナQ&A:イスラエルの犯罪を止めるために

ステファニー・クープ

書籍情報, 人道法, 人権

多数の子ども・民間人が殺される事態は犯罪ではないのか? 事態の見方をあいまいにしてイスラエルに利する政治家の発言や報道がある中で、国際法の専門家が明快に解説する。国際法での重大犯罪とは? 歴史的にみて現状は? 法は無力なのか? 事態を国際法で捉える私たちの声が、力の支配を終わらせる。用語解説・年表付き。


https://www.iwanami.co.jp/book/b654983.html

2024年12月3日

戦争・植民地支配とアーカイブズ1:戦時国際法と帝国日本

安藤正人

書籍情報, 歴史

アジア太平洋地域の旧日本植民地や占領地では、20世紀、とりわけ戦争期に、日本の植民地支配や軍政支配のもとで、膨大な数のアーカイブズ(官公署や企業の記録、民間の歴史文書など)やその他の文化遺産が失われた。詳細にその実態を分析し、日本におけるアーカイブズ史を切りひらいた著者による集大成。全2巻。


https://www.utp.or.jp/book/b10089699.html

2024年12月1日

国際司法裁判所の法と実務における個人(The Individual in the Law and Practice of the International Court of Justice)

Yusra Suedi

書籍情報, 紛争解決

国際裁判所が国家間紛争を排他的に解決することは,そのアイデンティティの礎石のひとつとなっている。 本書の優れた批判では,その結果として,これら紛争において個人はあまり重要でないという含意に挑戦し,多数国間人権条約違反を中心とする紛争にとどまらず,多くの紛争において個人が関わっていることを明らかにする。 個人の統合が強化されることを主張する本書は,潜在的な可能性を秘めた数多くの手続上の慣行を明らかにしている。 また,伝統的に国家中心である領土紛争や海洋紛争などにおいて,個人の重要な関わりに反する裁判所の法的推論を注意深く解き明かしている。 社会的理想主義のレンズから,裁判所のアプローチと国家訴訟当事者の選択の法的・政治的基盤を批判的に分析・評価するこの先駆的研究は,国家間紛争における重要な利害関係者としての個人と,法や実務においてそのように扱われる度合いとの間にある不均衡性に光を当てるものである。


https://www.cambridge.org/core/books/individual-in-the-law-and-practice-of-the-international-court-of-justice/8C4202BF7E6BB263FA0144919545BB9C

2024年11月22日

少数者集団の人格権:皆が法の下で平等に認められるために(The Right to Legal Personhood of Marginalised Groups)

Anna Arstein-Kerslake

書籍情報, 人権

法人格は、投票、結婚、相続、契約、同意、その他権力や特権の前提となりうる重要な社会的行為に必要とされる。本書は、特に障害者、移民集団、先住民族、人種的マイノリティ、女性、ジェンダー的マイノリティに関連する人権問題として、人格権と法的能力を取り上げている。


法人k泣く、法的能力、代理の概念は、文献の中で相反する定義を持っており、その適用に関して明確さを欠いている。著者は、人権、障害者の権利、ジェンダー正義、法的人格の分野における著名な思想家としての専門知識を、この議論に生かしている。 彼女は、国連障害者権利条約第12条における法的能力の権利の明文化に基づき、これらの概念の定義を展開することで、人格権と法的能力について明確にしている。 そして、これらの定義を様々なマイノリティ・グループの状況に適用している。


本書は、疎外された集団がどのように、そしてなぜ平等を否定されるのかについての理解を大きく深める可能性を秘めている。 本書は、差別と法の平等な保護という伝統的な分析を超え、法の前での平等な承認という新たな社会正義の要請を探求している。


https://global.oup.com/academic/product/the-right-to-legal-personhood-of-marginalised-groups-9780192843944

2024年11月5日

国際法・国際判例のグローバルコミュニティ年報2023(The Global Community Yearbook of International Law and Jurisprudence 2023)

雑誌情報

掲載論文(抜粋)

A Phenomenology of the Law of International Organizations
Jean d'Aspremont

The Legal Fabrique of Global Security Governance
Rebecca Mignot-Mahdavi

European Economic and Environmental Constitutionalism as Driver for UN and WTO Sustainable Development Reforms
Ulrich Petersmann

Constitutionalizing Global Health: The Security Council as a “Constitutional Legislator”
Giuliana Ziccardi Capaldo


Introduction to the Collection of Papers on Reparations
Otto Spijkers

Reparations for European Colonialism: From the Movement to the Law and Back?
Judith Hackmack & Sarah Imani,

Reparations for Internationally Wrongful Acts Against the Sámi Indigenous People:
Challenging Statehood and International Law
Carola Lingaas

Guilty Consciences and Making Good: Historical Perspectives on Reparation
Stephen Neff

How (not) to Compensate for State Responsibility in Armed Conflict - the DRC v Uganda Reparations Judgment and the International Law of Reparations
Robert G. Volterra & Florentine Vos

Interstate Cooperation Regarding Reparations for Victims: Analysis of the Julien Grisonas v Argentina Case in the Inter-American Court of Human Rights
Marcela Zúñiga Reyes


What's Your Poison? The Global Regulation of the Trade in Hazardous Chemicals
Peter Hough


Let There Be Light! Regime Hybridity as a Reinvention of (Different Dimensions of) the Democratic Paradox
Anja Matwijkiw


The Role of the International Court of Justice in Developing International/Global Law: A Survey of ICJ Decisions 2022-23
Robert Kolb & Aymeric Hêche


https://global.oup.com/academic/product/the-global-community-yearbook-of-international-law-and-jurisprudence-2023-9780197795392

2024年11月1日

慣習国際法とその国際裁判所による解釈(Customary International Law and Its Interpretation by International Courts)

Marina Fortuna, Kostia Gorobets, Panos Merkouris, Andreas Føllesdal, Geir Ulfstein, Pauline Westerman (eds.)

書籍情報, 法源論

国際裁判所が,たとえば慣習を構成する要素を明確にし,その修正に必要な条件を明確にすることによって,慣習国際法の発展に大きく貢献してきたことは,よく知られている。本書は,国際裁判所が国際慣習法の解釈にも積極的に関与してきたことを明らかにする。本書は,国際裁判所における慣習国際法の解釈を解明するために,理論的な,方法論的な,そして規範的な相互作用という3つの視点を選んだ。これらの視点から慣習国際法とその解釈を見ることで,国際法廷における慣習国際法解釈の役割と機能をより完全に把握することができる。本書は読者に対して,慣習国際法とその解釈に関する一般的なな理論に疑問を投げかけ,長らく単なる慣習の同定とされてきたものに新たな目を向け,解釈の過程においても条約や法の一般原則と揺るぎなく結びついている慣習国際法への体系的なアプローチをとるよう促す。


https://www.cambridge.org/core/books/customary-international-law-and-its-interpretation-by-international-courts/591B0766E4F1F26AB38D585D97BF54BD

2024年10月31日

「海の憲法」:国連海洋法条約の長く険しい道(A ‘Constitution for the Oceans': The Long Hard Road to the UN Convention on the Law of the Sea)

Kirsten Sellars

書籍情報, 海洋法

1982年に調印された国連海洋法条約は,半世紀にわたる法的努力の集大成だった。1930年,1958年,1960年に開催された国際連盟と国際連合の会議において,海を支配する条約体制を構築しようとする以前の試みは,いずれも領海の幅について決着がつかず,また2つの事件を経てもまったく解決を見なかった。直線基線は群島基線に,漁業保護水域は排他的経済水域に,海峡の無害通航は海峡の通過通航に,海底の共有財産は海底開発の並行システムに取って代わられた。交渉中に代表団を活気づけた問題―海洋汚染,乱獲,海軍の機動性,大陸棚の領有権主張,海底採掘の影響など―の多くは,今日に至るまで政策立案者や法律家を悩ませ続けている。


https://www.cambridge.org/core/books/constitution-for-the-oceans/70B5D8C805CE13AE957660EC5BF36934

2024年10月31日

二次制裁と国際法に関するケンブリッジハンドブックThe Cambridge Handbook of Secondary Sanctions and International Law

Tom Ruys, Cedric Ryngaert, Felipe Rodríguez Silvestre (eds.)

書籍情報, 国家責任

我々は,制裁の時代に生きている。地政学的な理由からは,力の強い国と経済ブロックが,特定の目標国との経済取引を制限するような一方的な措置をとることが増えている。これらの制裁は,制裁を課している国と対象国の間の取引に適用されうるが,第三国と目標国の間の取引にまで拡大されることもある。こうした「二次的な」制裁を科すことで,国はさらに対象国を孤立させることをねらう。二次制裁の域外性は,第三国の経済主権と対象国の事業者の国際的な商取引の遂行の自由を侵害するために,措置を論争的なものにする。本書は,たとえば一般国際法,国際経済法,そして私法といった多くの法的視点から,二次制裁の適法性を強調する。また本書では第三国や事業者が,たとえばそれを阻止する立法や訴訟を通じて,いかにして二次制裁への対抗を正当に示すことができるのかを検討する。また,二次制裁に関する経済的および政治的視点も提供するものである。


https://www.cambridge.org/core/books/cambridge-handbook-of-secondary-sanctions-and-international-law/14414293E704853C9FF40E3AADCB4FD0

2024年10月29日

人権/人道の光芒 ― 国際法の批判的理路

阿部浩己

書籍情報, 人道法, 人権

人権法・人道法・難民法の動態と今日的意義。他者からの呼びかけへの応答という営みを通じ、国際法に内在する解放可能性を射し展く。


https://www.shinzansha.co.jp/book/b10094815.html

2024年10月15日

科学に対する人権

Cesare P. R. Romano, Andrea Boggio

書籍情報, 人権

科学と科学の応用の進歩から利益を得る権利(「科学に対する権利」)は,1948年という早い時期に認められていたにもかかわらず,国際法学者や国際法実務家を長い間困惑させてきた。 科学,技術,社会の関係を適切に組み立てる上で重要であるにもかかわらず,科学に対する権利は依然として十分に理解されておらず,その恩恵を受けうる人々によって行使されることは極めて稀である。


本書は,この極めて重要な人権を徹底的かつ体系的に分析している。 本書は,その目的,方法論,主要な定義について論じた後,アメリカ人権宣言から世界人権宣言,経済的,社会的,文化的権利に関する国際規約まで,科学に対する権利の歴史的起源を検証している。 続いて,ユネスコを含む国連システムにおける権利の発展と,地域体制への広がりをマッピングする。 最後に,本書は科学に対する権利の規範的内容を,科学的進歩への権利,責任ある科学的進歩への権利,科学的進歩への参加への権利,科学的進歩から利益を得る権利という4つのクラスターに分類し,22の明確な権利に分類している。 それぞれについて,法的根拠,内容,対応する義務,指標を詳細に説明している。 本書は最後に,人権の枠組みが科学技術の規制に提供できる可能性を完全に実現するために,科学条約の採択を提言している。


国際法と科学政策の第一人者である2人の著者による本書は,権利の起源,発展,規範的内容を丹念に探求している。 そうすることで,これまで明確化されていなかった権利と義務を明らかにし,人権の相互関連性について新たな洞察を提供している。


https://global.oup.com/academic/product/the-human-right-to-science-9780197768990

2024年9月30日

国際司法への介入:裁判所における第三国(Intervening in International Justice: Third States before Courts and Tribunals)

Brian McGarry

書籍情報, 紛争解決

法手続きへの国の介入は,国際紛争解決におけるもっとも不可解ないくつかの問題に触れるものである。その中には,条約解釈,対世的義務,司法権限やロー・メイキングの淵源,付随的手続きの性質,不可欠な当事者に関する貨幣用金原則,司法機関と仲裁機関の相互作用,管轄権,当事者自治,および既判力に関する問題が含まれる。しかし,法律家や学者らがこれらの問題を個別のものとして扱う傾向ゆえに,第三国の実行が進展するたびに,ウクライナ対ロシアにおいて国際司法裁判所に集団で介入をしようとする数十か国の2022年の宣言や,2016年の南シナ海仲裁における中国を除く近隣諸国の参加など,当初は想像されなかったような問題が提起されている。概念的・比較的・歴史的アプローチを国際司法へと適用することで,本書は,そのように[個別的に評価]するのではなく,介入の実行および今後の発展について,独自的で総合的な評価をしている。


https://www.cambridge.org/core/books/intervening-in-international-justice/C80018A62EA4CBE2363362F140A406C6

2024年9月25日

国際法における公益訴訟(Public Interest Litigation in International Law)

Justine Bendel, Yusra Suedi (eds.)

書籍情報, 紛争解決

グローバルな問題に対する国民の関心が高まり,多国間主義がそれらに適切に対処できないとの批判が高まる中,紛争解決における国際裁判所や裁判の役割は変化しつつある。この変化の中心的な側面は,公益のために国際裁判所や国際法廷をそのような紛争の解決に利用できるかどうか,またどのように利用できるかということである。公益訴訟と呼ばれるこの慣行は本書の対象であり,この成熟しつつある慣行における最近の発展,傾向,展望を明らかにするものである。その目的は,国際裁判所や国際法廷の二国間的な設計が,国際訴訟への公益的アプローチへの転換にどの程度適応できるかを評価することである。人権,気候変動,グローバルヘルス,刑法など,公益訴訟が存在する様々な分野に関わりながら,この実践における最近の発展,傾向,展望を明らかにしている。本書は,種々の国際司法機関—例えば,国際司法裁判所,国際海洋法裁判所,国際仲裁裁判所,地域人権機関,刑事裁判所など—で,どのような種類の問題が生じているのかを示している。


https://www.routledge.com/Public-Interest-Litigation-in-International-Law/Bendel-Suedi/p/book/9781032560052

2024年8月29日

平和と正義に向けた構築的抵抗としての国際法(International Law as Constructive Resistance towards Peace and Justice)

瀬田真,根岸陽太(編)

書籍情報, 批判法学

この記念論集でフィーチャーする最上敏樹教授は,国際法および国際政治学の分野で学術的なキャリアを積まれてきた。最上教授が独自に構築した規範的・分析枠組みは,教授自身が「Jus Contra Anarchism et Oligarchism(国家間・制度的暴力に抵抗する国際法)」と名付けられた。編者らは,最上教授による種々の代表的著作,とりわけ『International Law as Constructive Resistance towards Peace and Justice』から,その教義のまさに神髄を抽出する。


オープンアクセス:https://brill.com/edcollbook/title/68863

2024年8月3日

自立型兵器技術を合法的に使う(Lawfully Using Autonomous Weapon Technologies)

Jonathan Kwik

書籍情報, 人道法

https://link-springer-com.peacepalace.idm.oclc.org/book/10.1007/978-94-6265-631-4

2024年8月1日

人道的な対抗措置(Humanitarian Countermeasures)

Cathrine Crämer

書籍情報, 人道法, 国家責任

本研究は,国家が人道的な目的で,そして安全保障理事会の承認なしに一方的に武力を行使することが,「人道的な対抗措置」という概念によって正当化されるのか,という問題を扱う。この文脈で人道的な対抗措置は,対抗措置の概念から派生しており,これは国家責任条文49条以降で考えられている国家責任法に由来して,伝統的に平和的な二国間措置のみを指す。研究の核心は,人道的な軍事行動へと対抗措置を開放し,そのようなアプローチの法的実現可能性を議論しながら,法的枠組みを確立することで濫用の可能性を効果的に抑制することにある。最終的にはでは,人道的な対抗措置の具体的な条件が定義され,それが対抗措置の再解釈と慣習法のさらなる発展の指針となる。


https://link-springer-com.peacepalace.idm.oclc.org/book/10.1007/978-3-658-45285-8

2024年7月31日

日本の海洋法制度の展望

坂元茂樹・植木俊哉・西本健太郎(編)

書籍情報, 海洋法

日本海洋法研究会叢書の最終巻として、日本における様々な海洋法をめぐる課題について真正面から分析し、今後を展望する。


2024年7月31日

ウクライナ戦争犯罪裁判 ― 正義・人権・国防の相克

新井京、越智萌(編)

書籍情報, 刑事

◇戦争犯罪は、誰が、どのように、訴追すべきか◇

2024年7月31日

Merchants of Legalism: A History of State Responsibility (1870–1960)

Alan Tzvika Nissel

書籍情報, 歴史, 国家責任

国連が2001年に国家責任条文の起草を追えて以降,注意のほとんどが,この問題の起草過程に向けられてきた。Alan Nisselは,その歴史的なレンズを国連以前の起源にまで拡大し,近代的な国家責任法への米国の貢献に関する広範な研究を,はじめて行った。本書は,法律家が依頼人の特定のニーズに合わせて国際法を利用する,という繰り返される物語を,重要な3つの文脈から検討したものである。すなわち,新世界における米国の国際仲裁実務への転換,ドイツにおける国家統一を背景とした公法理論化,そして世界の諸機関において国際法を法典化する多数国間での試み,である。この拡大された歴史的枠組みは,この規範が制度化される以前の起源をたどるだけではなく,国家責任のドクトリンの二面性,およびそれらが生まれた政治的環境をも浮き彫りにするものである。


https://www.cambridge.org/core/books/merchants-of-legalism/1FCD0D6109E0F321BADF264E2376D731

2024年7月30日

経済安全保障と国際法

中谷和弘

書籍情報, 経済

経済制裁、外資規制、安全保障輸出管理、経済サイバー諜報、エネルギー・食料安全保障など、幅広く関係する重要テーマを1冊にまとめる。国家により引き起こされる重大な国際法違反や、力による現状変更の地政学的リスクが高まっている現代国際社会において必読の書。


https://www.shinzansha.co.jp/book/b10086772.html

2024年7月25日

個人請求と国家請求の重複(Overlapping Individual and Interstate Claims in International Law)

Jessica Howley

書籍情報, 国家責任, 人権

本書は,国と個人の双方が同一の被申立国に対して国際法違反の賠償を請求することができるような,重複請求に関するものである。より詳細には,国家責任法に基づき,国または個人の一方による行為が,他方から提起される重複請求を妨げうるかいなか,またいかにしてそれがなされるのかを検討する。


本書ではまず,このような重複する請求が従来提起されてきたし,今後も提起されうることを概説する。次いで,これら主体のうちの一方の行為が,他方の請求を排除するという規則を生じさせる可能性があるかを検討する。

まず,パートB(Ⅲ-Ⅶ章)では,こうした重複する請求の一報を排除するために機能しうる多くの排除規則として,国内救済規則,重複請求を規定する条約条規,放棄,既判力および同様の効果を持つ条約条規,そして二重回収を検討する。ここでは,国または個人の行為が,これらの規則のもとで,他方による重複する請求を排除するような状況が多く存在することを強調している。


第2に,パートC(Ⅷ章)では,不法行為を排除する状況を取り上げている。対抗措置と自衛に焦点をあてて,国または個人の行為が,そのような事情の作用の結果として,当該主体の請求のみならず,他方に帰属する重複した請求をも排除する効果を持つのかを検討する。とりわけ近年の実行に鑑みて,本書では,これらの規則がそのように作用する余地は大きいと結論付けている。


本書は,国家責任法のもとで,国または個人による行為が,他方によって提起される重複請求を排除する可能性があるのは如何なる場合であるかを明らかにすることによって,ILCによる国家責任法の最近の法典化によってこの点に残されたギャップを小さくし,これから,国と個人の双方をより安定的な立場へと置くことを目的としている。


https://ora.ox.ac.uk/objects/uuid:443aef9f-9860-406b-8357-347724047970

2024年7月12日

ウクライナ戦争と国際法(The War in Ukraine and International Law)

Masahiko Asada, Dai Tamada

書籍情報, 人道法, 刑事, 国際機構, 国際法一般, 安全保障, 紛争解決

ウクライナ戦争は,ロシアによる明らかな侵略として2022年2月24日に始まってから,早くも2年を迎えようとしている。本書で詳しく見るように,国際法上の問題が複数発生し,その解決に取り組む必要がある。さらに,根本的な国際法上の義務が遵守されず,基本的な国際規則が全く無視されていることで,国際法秩序そのものが危機にさらされている。本書は,ウクライナ戦争から起因する多くの国際法問題を論じている。jus ad bellum,国際刑事法,中立法といった伝統的な戦争に関するテーマにとどまらず,対ロシア制裁から生じる比較的新しい問題も,WTO法や国際投資法の側面も含めて取り上げた。本書は読者に,ウクライナ戦争の様々な法的側面を再考する機会を与えるものである。


https://link.springer.com/book/9789819725038 人

2024年7月11日

国際法における武力紛争の当事国の地位(Party Status to Armed Conflict in International Law)

Alexander Wentker

書籍情報, 人道法

何が武力紛争を構成するのかという問題は,国際法上の論争において大きく取り上げられてきた。しかし国際法専門家らは,誰が紛争に従事しているのかという不可解な問題にはあまり注意を払わず,武力紛争が存在するかどうかにのみ焦点をあててきた。


こうした背景から本書は,国,国際組織,武装集団が武力紛争の当事者であることが,なぜ重要問題であるのか,そしてこのことをいかにして立証するのか,を探究している。本書の第1部では,武力紛争の国際法上の規制のあらゆるレベルで,当事者の地位が中心的な役割を担っており,武力紛争の当事者は国際法の重要な名宛人であると同時に,個人や第三者を規制するために主に参照されるものであることを示している。ますます広がりつつある協力の実行に応答して,本書の第2部では,一方の側に複数の当事者(あるいは「co-parties」)が要る紛争の当事者を特定するための分析枠組みを提唱している。


本書は,武力紛争がいかに法的に規制されているのかを理解しようとする学者,学生,および実務家にとって必読である。本書は,無聊紛争における責任の分担の在り方について読者に優れた説明を与え,国際法が現代の紛争の現実に以下に対応するのが最も良いのかについての,より深い洞察を可能にするものである。

2024年7月9日

体系的統合の原理(The Principle of Systemic Integration in International Law)

Campbell McLachlan KC

書籍情報, 条約法

国際法は過去数十年の間にその範囲と密度を大きく拡大し,その断片的で分散的な性質は,垂直的な階層性を欠くシステムの中で法的ジレンマを解決する必要のある人々の間に不安を引き起こしている。体系的統合の原則は1969年のウィーン条約第31条3項(c)に具体化されているが,その運用と意義は十分に評価されていない。


本書は,この原則が国際裁判所の司法判断においてどのように適用されてきたか,また国際文書の作成やその適用における国家や国際機関の実務を分析することによって,この研究の穴を埋めるものである。著者は,2005年に初めて提唱した枠組みを基礎として,20年にわたる国際法における学術的研究と実務経験の集大成として,本原則の理論的基礎と実務における実際の適用について考察するために,起草文書や判例を綿密に検証している。


本書は,体系的統合の原則が制度間や法規範間の対立に対処するための秩序ある枠組みに貢献すると主張する。本書は,二国間条約や多国間条約の策定において,国際法の異なる領域がどのように統合されているかを探求し,最後に,国際裁判における本原則の運用を分析する。本書が提示する推論とより大きな問いは,あらゆる国際法プロジェクトに取り組む研究者や実務家に新鮮な洞察をもたらすだろう。


https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-02-9780192893741

2024年6月30日

国際刑事法・手続きへの入門 第5版(An Introduction to International Criminal Law and Procedure, 5th ed.)

Darryl Robinson, Ontario, Sergey Vasiliev, Elies van Sliedregt, Valerie Oosterveld

書籍情報, 刑事

この著名な教科書は,前版の成功のうえで,新たにElies van SliedregtとValerie Oosterveldという2人の共著者を迎え,増補改訂された第5版となった。国際刑事法の教科書として世界的に好評で,最も信頼されている本書は,親しみやすく魅力的な語り口に加えて,批判的かつ建設的な公平なアプローチで知られている。全面的にに更新されて書き改められたこの新版では,国際刑法の主要な概念と,それを執行する国内および国際機関を読者に紹介して,国際刑事裁判所をめぐる最新の課題や論争を取り上げる。この分野で学術的にも実務的にも豊富な経験を持つ国際刑事法専門家集団によって執筆された本書は,重要問題,政治的および道徳的な難題,国際司法への代替案へも取り組んでいる。他の文献への参照も含まれており,貴重な研究資料である。


https://www.cambridge.org/highereducation/books/an-introduction-to-international-criminal-law-and-procedure/EAB25A4B251897340AE727B18BB3059A#overview

2024年6月30日

国際手続法のリサーチハンドブック(Research Handbook on International Procedural Law)

Joanna Gomula, Stephan Wittich, Markus Stemeseder (eds.)

書籍情報, 紛争解決

この包括的な研究ハンドブックは,国際裁判所の手続きと運営に影響を与える原則と規則を詳細に探求している。この枠組みの中で,第一線で活躍する専門家たちが,手続規則や概念の進化が,国際手続法として知られる独特の規則群をどのように生み出したかを検証している。


コモン・ローおよびシビル・ローの背景を持つ多様な著者らが、国際手続法の意義,法源,一般原則を論じ,重要でありながら見過ごされがちな国際紛争解決制度にスポットを当てている。また,国際的な司法制度間の相互作用など,国際手続法の出現に関連する具体的な問題も解き明かされ,現実的にありうる解決策が検討されている。この研究ハンドブックは,異なる国際紛争解決レジーム間の相互作用の比較分析を用いて,相互配慮と敬譲comityがどのように手続き上の一致を導き得るかを概説し,将来を展望して締めくくられる。


本研究ハンドブックは,、仲裁・紛争解決,憲法・行政法,国際公法の学生や研究者にとって権威ある参考書である。また実務家,政府関係者,裁判官,裁定機関のメンバーにとっても,見識があり実践的な本書は,重要な資料となろう。

2024年6月30日

国際法の歴史 1巻(The Cambridge History of International Law, Vol. 1)

Randall Lesaffer, Anne Peters (eds.)

書籍情報, 国際法一般

第1巻では学問分野としての国際法史学を紹介する。第1部では,本シリーズの目的とデザインに関する一般的な紹介の後に,この分野が急速に拡大した最近の30年間において,新旧両方の歴史学に影響を与えた方法論,学問的アプローチ,視点といった観点から,この分野の多様性を浮き彫りにしている。第2部では,世界のさまざまな地域から,およそ過去2世紀にわたる国際法制史の歴史を概観している。このように本書は,グローバルな視点と学際的な視点の双方を用いて,国際法制史の歴史的発展と現在の状況について,最も包括的な知識を提供するものである。

2024年6月30日

国際刑事法と手続への入門 第5版(An Introduction to International Criminal Law and Procedure, 5th ed.)

Darryl Robinson, Sergey Vasiliev, Elies van Sliedregt, Valerie Oosterveld

書籍情報, 刑事

過去の版での成功(サイバーなど)の上で,この著名な教科書は第5版で,Elies van SliedregtとValerie Oosterveldという2人の新たな共著者を得て,拡張およびアップデートされた。本書は,国際刑事法においてもっとも著名であり信頼を得ている教科書であり,親しみやすい語り口と,批判的かつ建設的でありバランスの取れたなアプローチで知られている。全面的に更新されて書き直されたこの新版は,国際刑事法の主要な概念,それを執行する国内・国際機関を紹介し,そして国際刑事裁判所をめぐる最新の課題や論争を取り上げる。この分野で学術的にも実務的にも豊富な経験を持つ国際刑事法の専門家集団によって執筆されており,重要な問題,政治的および道徳的な難題,国際司法への代替案へと取り組むものである。他の文献への参照も含まれており,研究のための価値ある資料でもある。


https://www.cambridge.org/highereducation/books/an-introduction-to-international-criminal-law-and-procedure/EAB25A4B251897340AE727B18BB3059A#overview

2024年6月27日

国際司法裁判所と国際法委員会を通じた国際法メイキング(International Law-Making by the International Court of Justice and International Law Commission)

Omri Sender

書籍情報, 法源論, 基本書

本書は,国際司法裁判所と国際法委員会との結びつきについて、他に比類ない説明を提供し,国際法システムの中心的機関である両機関の関係の深さと,その意図せざる重大な影響を明らかにする。歴史的記録や両機関のメンバーへの聞き取りから,裁判所と委員会の相互作用に関する当初の構想が時間の経過とともに失われていることを明らかにする。本書は,それぞれの機関の成果から読み取れる相互の好影響のみならず,両機関が育んでいるより微細な絆についても言及し,まれに起こる意見の食い違いさえも,両機関の間の関係を損なうどころか,むしろその強さを証明していることを明らかにしている。これらすべてが,国際法制定という無形のプロセスに光を当て,国際法制定が国家だけのものであるという見方に疑問を投げかける。


https://www.cambridge.org/core/books/international-lawmaking-by-the-international-court-of-justice-and-international-law-commission/3692D28036A7F124E9F4B61D03B4FC54

2024年6月20日

投資仲裁における反訴(Counterclaims in Investment Arbitration)

Edward Guntrip

外国人投資家は,投資仲裁において強制力を持つ国際投資法上の投資保護基準の恩恵を受けている。しかし,国際法は外国人投資家を直接拘束するものではなく,投資仲裁は外国人投資家の不祥事への対応に苦慮している。そのため,ホスト国は投資仲裁において,国際法違反を理由に外国人投資家に対して容易に請求することができない。Edward Guntripは本書において,ホスト国が投資仲裁において反訴手続を利用し,国際法違反の不法行為に対する外国投資家の責任を追及する方法を示している。仲裁実務に基づき,投資受入国が反訴手続の有効性を高めるためにどのように自国の国家実務や訴訟戦略を修正できるかを提示し,投資受入国がどのような場合に反訴手続を取るべきかを評価している。

2024年5月31日

国際機構(International Organizations: Politics, Law, Practice)

Ian Hurd

書籍情報, 国際機構

国際機関は,世界の政治,法律,文化にとってますます重要性を増している。第5版となる本書は,12もの著名な国際機関を取り上げることで,現代国際機関入門の決定版となる。法律的,実証的,理論的アプローチを織り交ぜながら,移民問題,ブレグジット,貿易戦争,国境紛争など,国際機関が今日の見出しを飾る時宜にかなった事例を検証している。この新版は全面的に改訂され,FIFAや国際オリンピック委員会による世界的なスポーツの組織化に関する新しい章が追加されている。本書は,国際機関の法的権威が現実の論争において政治とどのように相互作用するかを見ることによって,国際機関の力と限界を説明している。国際機関,国際機構,グローバル・ガバナンス,国際法などを学ぶ学部生や大学院生にとって興味深い内容となっている。


https://www-cambridge-org.peacepalace.idm.oclc.org/highereducation/books/international-organizations/B2746ABAC6A50D16DAB8F3075D2BECE5#overview

2024年5月30日

国際裁定の機能と国際環境訴訟(The Functions of International Adjudication and International Environmental Litigation)

Joshua Paine

書籍情報, 紛争解決

本書は,環境紛争を題材に,国際裁判の機能に関する斬新な比較分析を展開している。著者は,国際法廷が直面する3つの課題に焦点を当てる。それは,適用される法規範や関連する事実の変化を管理すること,国際的な義務の遵守について国家の行為を精査する際に適切な基準と審査方法を決定すること,そして紛争解決のより広範なプロセスに貢献することである。本書は,世界貿易機関(WTO)における裁決、国連海洋法条約に基づく裁決,国際司法裁判所の訴訟,投資条約の仲裁という,国際的な裁決の4つの主要な場において,法廷がこれらの課題にどのように対処しているかを比較している。本書は,国際法廷が現代の国際法秩序においていくつかの重要な機能を果たす一方で,大きな制約を受けていることを示している。国際法における国際裁判の役割に関する文献に新たな一面を加えるものであり,学者,実務家,政策立案者にとって有益であろう。


https://www.cambridge.org/core/books/functions-of-international-adjudication-and-international-environmental-litigation/25BDC11D4BEEC2C9DB562E62A190E80B#fndtn-metrics

2024年5月23日

武力紛争法の作成と形成(Making and Shaping the Law of Armed Conflict)

Sandesh Sivakumaran, Captain Christian R. Burne (eds.)

書籍情報, 人道法

本書は,武力紛争法の作成と形成を探求するものである。慣習国際人道法規則の同定から条約解釈の問題に至るまで,また「新たな」状況を規制するかどうか,いかにして規制するのかにはじまり,条約規則が当事国を拘束し続けるかどうかにいたるまで,法の制定と形成の様々な側面が分析されている。意図された慣行が既存の慣習国際人道法規則に包含されるかどうかから,特定の行為者の解釈を重視するかどうかまで,争点となるほとんどすべての法的問題の根底にあるのは,法の作成と形成の問題である。法の作成と形成に関する問題が重要であるにもかかわらず,このテーマについて深く掘り下げた論考は比較的少ない。本書では,武力紛争法の基本的な素材,行為者と影響力,空間,そして不作成(unmaking)の問題を探求している。


https://academic.oup.com/book/56458?searchresult=1

2024年5月16日

新たな宇宙の時代における国際宇宙法:原則と問題(International Space Law in the New Space Era: Principles and Challenges)

Sandeepa Bhat B., Dilip Ukey, Adithya Variath (eds.)

書籍情報, 宇宙

本書は,現在の宇宙開発を統制し続けている宇宙関連の国際法および国際規制の側面を取り上げるものである。本書は5つの国連宇宙条約と,ソフト・ローや政策を解説する。近年,商業化を促進するために国際宇宙法の基盤を再考する動きもあるが,国際宇宙法の原則は,宇宙の商業化が始まる以前と変わらず根強くあり続けている。したがって,

2024年5月10日

環境損害に対する責任(Responsibility for Environmental Damage)

Jason Rudall

書籍情報, 環境, 国家責任

本書は、現代において最も重大な問題のひとつである、国際法上の環境破壊に対する責任について丹念に分析したものである。本書では責任を包括的にとらえ、国家および非国家主体が環境に及ぼす損害への法的責任、ライアビリティ、およびアカウンタビリティを論じている。


環境損害に対する責任は、国際法の第1次規則および第2次規則を、また国、国際機関、企業および個人が負うべき法的責任・ライアビリティ・アカウンタビリティを、さらには現行の規制と新たな規制の枠組みをも横断する。本書は、環境損害の結果について、一般的な法理論に加えて、共同責任、衡平の考慮、完全な賠償、責任体制の下での対応措置、企業の責任、エコサイド、気候変動に対する責任など、最先端の問題についても評価する。これにより、環境損害がもたらす新たな課題に対処するための法整備がなされているかどうかを評価し、地球にとって最も重大な脅威のいくつかに効果的に取り組むためには新たな法的手段が必要であると主張している。


本書は、国際公法、国際環境法、人権、国際刑事法、国際経済法の分野で、環境損害に対する責任、ライアビリティ、アカウンタビリティに関する研究を行う研究者のみならず、学部生や大学院生にとっても不可欠なものである。国際法の実務家、裁判官、仲裁人、政策立案者、シンクタンクやNGOで働く人々も同様に、この価値ある著作から恩恵を受けることだろう。


https://www.e-elgar.com/shop/gbp/responsibility-for-environmental-damage-9781803920702.html

2024年5月10日

非国家主体に対する武器移転(Arms Transfers to Non-State Actors)

Hannah Kiel

書籍情報, 軍縮

この洞察に満ちた本では,非国家主体への武器移転の検討によって,国際法における規範浸食の問題を分析している。筆者は,実証研究と法理論のバランスを取りながら近年の事例研究を吟味し,体制の変容を背景とした個々の規範変化を追っている。


本書は,1986年のICJニカラグア事件判決以降の,非国家主体への武器移転の禁止に生じた変化を追ったものである。アブハジア,ボスニア,今後,東部ウクライナ,コソボ,リビア,イラク北部,南オセチア,シリア,イエメンなど,関連する事例研究を通じて,著者は法整備を批判的に論じる。慣習法という視点を採用し,また,国際的な構造変化の文脈に国の主張を位置づけることで,国の国家実行と人権に基づく枠組みの強化との相互作用を強調する。著者は最後に,個々のレベルでの規範の変化が,国際秩序でのより大きな変化を示唆していること,そして,非国家主体の武装が形式的に違法であり続けるものの,当該行為の禁止が非公式に侵食されつつあることを示している。


https://www.e-elgar.com/shop/gbp/arms-transfers-to-non-state-actors-9781803920726.html

2024年5月10日

国家責任とテロリズム:国際法における新たな視点(State responsibility and terrorism : new perspectives in international law)

Claudia Candelmo

書籍情報, 国家責任

本書は,非国家主体によるテロ行為に関連する国家責任の問題を論じたタイムリーな書である。ボスニアのジェノサイド,9.11,2016年と2020年のニースでのテロなどの現代的な事例を用いて,国家の不当な行為がもたらす結果を詳細に評価する。


https://www.e-elgar.com/shop/gbp/state-responsibility-and-terrorism-9781789906080.html

2024年5月10日

国際法を教える(Teaching International Law)

Paul F Diehl, Charlotte Ku

書籍情報, 国際法教育

Teaching International Law』は,学部レベル,大学院レベル,またロースクールや法曹養成課程において,国際法を教えるための最善の実行に関するガイドラインと提言を提示する。

本書は,試験やコースワークを含む評価メカニズム,ケーススタディやソクラテスメソッドなどの授業戦略,コース内容,理論について,ブルーム分類学の観点から鋭く探求している。著者らは,学部レベル,大学院の学位プログラム,専門的なLLM学位における国際法の教育について,米国と欧州やアジアのモデルの違いを指摘している。また,人権,貿易,環境,刑法といった国際法の専門科目の教育についても取り上げている。

40年以上にわたる国際法教育の経験に基づく本書は,国際公法はもとより,刑法・司法,国際商法,国際経済法・貿易法,グローバル法・トランスナショナル法などの科目を担当する教官にとって不可欠な資料である。また,ロースクールや専門職大学院の国際法コースの講師にとっても有益な内容となっている。


https://www.e-elgar.com/shop/gbp/teaching-international-law-9781802204100.html

2024年5月9日

国際人道法 第3版(International Humanitarian Law third edition)

Emily Crawford, Alison pert

書籍情報, 人道法

武力紛争を規律する法は,国際法の最も古い領域の一つであり,そして今でも法の最も動的で重要な領域であり続けている。この第3版で本書は,国際人道法について,わかりやすく,学術的で,時宜にかなった考察を提示し,学生および教員に対して,法の包括的かつ論理的な議論と分析を与えるものである。詳しい事例,慣例判例からの引用,確証の検討に役立つ問題,および推奨文献リストを掲載しており,学生と教員がともに題材に取り組み,理論と実践がいかに相互に働きかけているのかを把握する一助となる。また,国際人道法の理論と実践における新たな動向についても検討されており,読者は知識を深めて,21世紀に武力紛争法が直面する最大の難題へと取り組むことができる。


https://www-cambridge-org.peacepalace.idm.oclc.org/highereducation/books/international-humanitarian-law/9C337A4C6DF76DB61CC815E52115AD5A#overview

2024年5月1日

宇宙ビジネスのための宇宙法入門 第3版

小塚荘一郎,佐藤雅彦(編著)

書籍情報, 宇宙

宇宙法の世界をビジネスの観点から捉えた入門書の最新版。国内法(「宇宙資源法」の成立と「JAXA法」の改正)や国際合意(「アルテミス合意」「日米宇宙協力枠組協定」等)等の法整備に対応し,世界の宇宙法の動向や最新の宇宙ビジネスの情報も盛り込んだ。


https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641126510

2024年5月1日

国際海洋法・海岸法雑誌(The International Journal of Marine and Coastal Law)39巻2号

雑誌情報, IJMCL

【収録論文】

〇Yoshifumi Tanaka and Bjørn Kunoy「国連海洋法条約のレジリエンス:40年—はじめに」(215-224)

Sean D. Murphy「国連海洋法条約における耐久性,柔軟性,可塑性」(225-251)

〇Hilde Woker「大陸棚限界委員会と提出する沿岸国との間での意見の相違」(252-278)

〇Ilaria Tani「歴史的海域:海洋法の恒久的な例外」(279-321)

〇Eva R. van der Marel and Aleke Stöfen-O’Brien「将来のプラスチック条約への対応:国連海洋法条約の『可塑性』」

〇 Bjørn Kunoy「係争地に対する国連海洋法条約に基づく裁判所の管轄権」(345-373)

〇Yoshifumi Tanaka「海洋境界画定判決の第三国への影響:ニカラグア対コロンビアおよびコスタリカ対ニカラグア裁判の再検討」(374-397)


https://brill.com/view/journals/estu/39/2/estu.39.issue-2.xml



2024年5月1日

国際法外交雑誌

雑誌情報

【収録論文】

論説

増田史子「デジタルプラットフォーム法の諸相」

金子匡良「憲法学から見た『ビジネスと人権』—国際人権法学との対比を中心に—」


研究ノート

西片聡哉「欧州人権条約における文化多様性の保護—文化的アイデンティティの保護を中心に—」

高橋大祐「実務放送から見たビジネスと人権—『サプライチェーン効果』を通じた国際ルール形成と企業の役割を中心に—」


判例研究

新井京「占領されたパレスチナ領域における壁建設の法的帰結」

真山全「コンゴ領域における武力活動事件」(仮保全措置命令・反訴命令・本案判決・賠償判決)


紹介

山田卓平:浅田正彦・玉田大(編著)『ウクライナ戦争をめぐる国際法と国際政治経済』

保井健呉:浦口薫(著)『封鎖法の現代的意義—長距離封鎖の再評価と地理的限定—』

後藤主樹:Oliver Corten, Sociologies du droit


2024年5月1日

欧州国際法雑誌(EJIL)35巻2号

雑誌情報, EJIL

【収録論文】

○Megan Donaldson「伝記的なレンズを通した法の革新:アントニオ・カッセーゼと欧州の伝統」(259-278)

○Kirsten Sellars「レーリングとカッセーゼによる東京裁判の評価の再考」(279-296)

○Lorenzo Gradoni「雲に足,地に頭:アントニオ・カッセーゼの闘争的な法理想主義」(297-330)

○Adil Hasan Khan「アントニオ・カッセーゼの精神的な運動と国際法における『欧州の伝統』の再形成」(331-354)


○Dilek Kurban「権威主義的な抵抗と司法の共謀:トルコと欧州人権裁判所」(355-387)

○Niccolò Zugliani「侵略の被害者への武器の供与:ウクライナでの紛争に照らした中立法」(389-410)

○Ming-Sung Kuo「軍事的民主主義の錨は抜かれたか?国際法における憲法のアナロジーの限界」(411-440)


○Christian Riffel「国際法による憲法制定:自由貿易協定の土着化」(445-468)

○Claire Charters「マオリの憲法上の地位と必要な権利についての更なる理解:Christian Riffelに対する応答」(469-478)


○Thomas Bustamante「ドゥオーキンの法一元論を深刻に受け止める」(479-510)

2024年4月30日

ウクライナに対する戦争とEU:新たな現実に直面して(The war against Ukraine and the EU : facing new realities)

Claudia Wiesner, Michèle Knodt (ed.)

書籍情報, 国際機構

本書は,対ウクライナ戦争が欧州連合(EU)とEU研究にもたらした様々な影響を論じることを目的とした公開の書籍である。本書は,ロシアによるウクライナ攻撃とそれに続く戦争が,世界秩序に影響を及ぼすだけでなく,EUおよびEU加盟国にとって,多くの現存するの見解や信念に挑戦しているという事実を受け止めている。EUは今,変化する世界秩序の中で自らを位置づける必要がある。具体的には,多くの加盟申請,リベラル・デモクラシーに対する内外の挑戦,多くの決定的な政策分野における戦略的自律性の発展などに対処する必要がある。本書は,経験豊富な学者を招き,以下のテーマと分野を各章で取り上げている。それは,EU研究およびIRにおける理論,アプローチ,概念,EUと変化する欧州秩序・世界秩序,自由民主主義の戦争と防衛,メンバーシップ政治,エネルギー政策である。


https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-35040-5


2024年4月25日

かんがえる国際法

ヴォーン・ロウ(著),庄司克宏(監訳)

書籍情報, 国際法一般, 基本書

国際法はどこから来るのか? 主権・自決・平和・戦争・制裁はじめ国際法の基本的な考え方を理解するのに役立つコンパクトな入門書

https://www.hakusuisha.co.jp/book/b643253.html

2024年4月19日

国際法で読み解く外交問題

坂元茂樹(著)

書籍情報, 国際法一般

今なお世界各地で止まない紛争――人道的危機に国際法は無力か?


ウクライナやガザでの紛争、パンデミック、グローバル環境問題など、領域横断的に生じている様々な国際問題の解決をリードすべき先進諸国の足並みが乱れている昨今、国際秩序と文民の命を守る国際法の意義が改めて問われているといえよう。本書は、ロシアによるウクライナ侵攻、SDGsをめぐる環境問題、COVID-19の感染拡大、捕鯨問題、北方領土や尖閣諸島といった領土問題など、様々な二国間・多国間外交問題の各具体事例と国際法との関わりを取り上げた論考を集約し、現代国際法の意義とあるべき姿をまざまざと示した一冊!


https://www.toshindo-pub.com/book/91876-2/

2024年4月11日

アジア国際法雑誌(AsianJIL)14巻1号

書籍情報, AsianJIL

【収録論文】

〇Mohammad Shahabuddin「20世紀初頭における汎アジア主義,アンチ帝国主義,そして国際法」(1-24)

〇Mohsen Nagheeby「最悪の条約か最良の条約か?ヘルマンド川の法的取極における衡平かつ合理的な利用原則の分析」(25-44)

〇Heidarali Teimouri「リビアの事例における国際司法の介入:私法の執行者から平和の構築者へ 『正しい立憲性と制度的独立性:現実政治との戦いの美徳』」(45-71)

〇Zaker Ahmad「欧州委員会によるガラス繊維織物の調査,および投資と貿易の境界」(72-93)

〇Mark Mclaughlin「一体一路紛争のジオエコノミクス:中国=パキスタン経済回廊の事例研究」(94-122)

〇Sharmin Tania, Meika Atkins, Robert Cunningham, Ajith Anawaratna「WTO紛争解決における特別待遇と差別的待遇の捉えなおし」(123-153)

〇Felicity Deane, Emily Woolmer, Shoufeng Cao, Kieran Tranter「デジタル時代の貿易:断片化を緩和する協定」(154-179)

〇Emma Palmer「道と規則:インフラは国際法について何を明らかにするのか?」(180-207)


https://www.cambridge.org/core/journals/asian-journal-of-international-law/issue/FB7D9B8B189F96A487DE4523D1B377CE

2024年4月1日

アメリカ国際法雑誌(AJIL)118巻2号

雑誌情報, AJIL

【収録論文】


〇Miles Jackson, Federica I. Paddeu「他者の対抗措置:いつ国は対抗措置の実施に協力できるか?」(231-274)

〇Kevin A. Baumert「200海里以遠の大陸棚:米国による外縁の表明」(275-298)

〇Daniel Bodansky「4つの条約を1つに:国内管轄合意を超えた生物多様性」(299-323)

〇Kathleen Claussen, Chad P. Bown「条約による企業のアカウンタビリティ:北米の新たな労働即応メカニズム(98-119)

〇Christopher Ward「ニカラグア沿岸から200 海里以遠のニカラグアとコロンビアの間の大陸棚境界画定問題事件(ニカラグア対コロンビア)に関する問題」(324-331)


ほか。

https://www.cambridge.org/core/journals/american-journal-of-international-law/issue/41A8A4FD5F0416AF9C13658DBCABF7E6

2024年4月1日

【リサーチペーパー】紛争における文民の安全を強化する

Emanuela-Chiara Gillard

人道法

紛争状況における人々の苦痛を和らげたいという願いから,敵対行為に巻き込まれた文民に一定の安全を提供し,人道的対応活動を促進するための取り決めを設けることがしばしば求められる。

本稿では,近年の紛争で確立され,求められた6つの人道的な取極,すなわち人道的な通知,避難,人道回廊,敵対行為の一時停止,保護区域,飛行禁止区域について論じる。

これらの取り決めのなかには,相互に関連しているものもあり,互いに連携して確立される必要がある。たとえば,避難が安全に行われるためには,敵対行為の一時停止とともに,人々が安全に移動できるルートが必要である。

人道的な取極のそれぞれについて,関連する国際法を概説し,繰り返し生じる運用上の課題を明らかにし,優れた実践のための提言を行う。結論として,すべての取極に適用できる包括的な指摘と提案がなされている。

2024年4月1日

国際コミュニティ法レビュー(International Community Law Review)26巻1-2号

雑誌情報, ICLR

特集:ウクライナ戦争と国際法(玉田大 編)


〇玉田大「ウクライナ戦争と国際法に関する特集」(1-3)

〇浅田正彦「国際法におけるウクライナ戦争:武力行使,および武力紛争の側面」(5-38)

〇玉田大「ウクライナ戦争と国際司法裁判所:仮保全措置と第三者による訴訟参加の権利」(39-68)

〇林美香・山口章浩「ロシアに対する経済制裁:合法性と正統性の問題」(69-98)

〇中谷和弘「ロシア中央銀行とオルガルヒ資産の凍結,没収,統制」(99-120)

〇川島富士雄「ロシアに対する貿易制裁とWTOの整合性:国の安全保障例外による正当性に焦点をあてて」(121-150)

〇平覚「国際慣習法の下で許容される第三者による対抗措置としてのWTO紛争解決と貿易制裁」(151-186)

〇玉田第「ウクライナ戦争と国際投資法への影響」(187-207)


https://brill.com/view/journals/iclr/26/1-2/iclr.26.issue-1-2.xml

2024年3月30日

国際法研究 第13号

岩沢雄司,中谷和弘(責任編集)

書籍情報, 国際法一般

本号は、11号に続き、特集「ロシアのウクライナ侵略をめぐる国際法上の課題」の第2弾を掲載。信頼の実務家と研究者が一堂に集い、益々充実の刊行。【特別寄稿】として、黒田東彦氏による「IMF,ADB,OECD,BIS を巡る国際法秩序」を掲載。


https://www.shinzansha.co.jp/book/b10079973.html

2024年3月30日

国際法研究 第14号

岩沢雄司,中谷和弘(責任編集)

書籍情報, 国際法一般

◆第一線の執筆陣が広く集い、理論・実務に幅広く有用な研究雑誌―2024年は13号と同時刊行で益々充実◆


本号も信頼の執筆陣が集い、国際法学の基底にある蓄積とその最先端を、広範かつ精緻に検討。計11本の論稿を掲載し、益々充実の刊行。


https://www.shinzansha.co.jp/book/b10079974.html

2024年3月29日

国際法〔第5版〕

中谷 和弘・植木 俊哉・河野 真理子・森田 章夫・山本 良

書籍情報, 国際法一般, 基本書

コンパクトな分量・オーソドックスな内容で,国際法をわかりやすく学ぶことができると好評のテキストの最新版。国際法の基本原則をより良く理解できる。激動する国際情勢への言及や最新の研究成果も盛り込まれており,国際法への知的好奇心を掻き立てる。


https://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641222304

2024年3月28日

海と国際法

柳井俊二(編著)

書籍情報, 海洋法

◆海は誰のものか? 海洋国家を守るための基礎 ― 第一線の執筆陣による信頼のテキスト◆


海は誰のものか? 海に関わる国際法の主要分野である、領域、航行の自由、資源、経済活動、安全保障、人権、環境等々、8人の第一線研究者による最新の海洋法テキスト。海洋国家を守るための最先端の基礎知識を学ぶ。巻末には、条約・文書一覧、判例一覧、資料・参考文献・国際機関一覧等も収載。


https://www.shinzansha.co.jp/book/b10080090.html

2024年3月22日

リヴァイアサンのための法:憲法,国際法,国家(Law for leviathan : constitutional law, international law, and the state)

Daryl J. Levinson

書籍情報, 国家

効果的な法体系は,法とは何かを権威をもって明示し,その対象を法に従わせることができるものでなければならない。国際法に対する懐疑論者たちは長い間,国際法がこの基準を満たす能力があるのかに疑問を呈してきた。たとえば,どうしてアメリカのような世界的な大国が,自国の利益に反する国際法規則を変更したり,無視したり,解釈を変えたりするのではなく,それに従うようなことがあろうかと。同様に,なぜアメリカ大統領が憲法の制限を 「parchment barriers(羊皮紙の壁)」と切り捨てるのではなく,遵守することを選ぶのか,不思議に思うかもしれない。立憲主義者らは,国際主義者らに比べてこの種の疑問にあまり注意を払ってこなかったが,彼らに用意されている答えが似たようなものであることに驚かないでほしい。本書では,王冠をかぶり,剣を振りかざすリヴァイアサンが上に立っていなくても,国家のための法律がどのようにして一定の和解と遵守を達成できるかを説明する。


https://global.oup.com/academic/product/law-for-leviathan-9780190061593?cc=jp&lang=en&

2024年3月21日

国際法における政府のアイデンティティ(The Identity of Governments in International Law)

Niko Pavlopoulos

書籍情報, 国家

本書は,政府の地位に関する国際的な法的規制について包括的に説明するものである。本書では,国際法における国家政府の基本的な概念的側面を検討した後に,慣習国際法における政府の承認と政府地位の基準に関する法律を分析する。また,国際機関の文脈における政府のアイデンティティに関する事項についても研究している。


本書は,政府の地位の規制に関する積極的な国際法の枠組みを提示し,カンボジアの対立政府(1970-75年、1979-89年、1997-98年),タリバンの承認(1996-2001年・2021年~),ベネズエラ大統領のアイデンティティ論争(2019年以降)など,歴史的・現代的な事例を幅広く取り上げている。国際法における国の優位性と,国の代表としての政府の重要性を考慮すると,確固たる概念的基礎に基づいた体系的な実践の検討により,本書は国際法のみならずあらゆる分野の学者や実務家にとって有益な参考書となろう。


https://global.oup.com/academic/product/the-identity-of-governments-in-international-law-9780198882923?cc=jp&lang=en&

2024年3月14日

条約解釈の謎を解く(Demystifying Treaty Interpretation)

Andrea Bianchi, Fuad Zarbiyev

書籍情報, 条約法

『条約解釈の謎を解く』は,条約が一般的にどのように解釈されているかを論じるにとどまらない。条約解釈のプロセスとその結果について理解する助けにもなる。条約解釈規則が条約の条項の意味を導けるという考えは,拭い去られるべき神話である。本書は,条約解釈に関する複雑で機微なプロセスの一部を捕えることを目的としている。他の諸学問分野からの概念,カテゴリー,知見を背景として,解釈がいかに行われるのかに関する更なる考察を促すものである。本書はあらゆるレベルで条約解釈をする学者,実務家,研究者にとって有用であり,読者が解釈というゲームでより熟練した効果的な解釈者になることを視野に入れ,あらゆる要素における解釈プロセスに関する知識を深め,習得することを目的としている。


https://www.cambridge.org/gb/universitypress/subjects/law/public-international-law/demystifying-treaty-interpretation?format=HB

2024年3月14日

領域の再誕(The Rebirth of Territory)

Gail Lythgoe

書籍情報, 国家

領域の概念は国際法において中心的であるが,従来,この概念が学説上および実行上の双方でどのように用いられているかについての詳細な分析はかけていた。本研究では,国際秩序の中で確立された領域性の理解を再現するのではなく,国際法という学問分野が時代遅れの空間枠組みに依存していることを示している。著者は,現代のグローバル・ガバナンスに関連する重要なプロセス,構造,主体とより効果的に関わるために,領土と空間についての理解を全体的に更新して見直すことを主張している。彼女は,国際公法に欠かすことのできない側面に関するこの新たな理論の説明として,領域とは権力の行使によって生み出される動的な社会的現実だと主張する。領域は認識されている以上に多様な主体の実践によって構成されている。その結果,国および非国家主体によって構成される領域において,機能が再構築されている。


https://www.cambridge.org/core/books/rebirth-of-territory/C61BEB852692AF43FA8FDE91911EF729

2024年3月11日

国際法における表現の自由(Freedom of speech in international law)

Ms Amal Clooney, Lord David Neuberger

書籍情報, 人権, 国際法と国内法, 安全保障

本書は,国際人権法における言論に対する最低限の保護を記述したものである。本書は,国際法における表現の自由の権利の意味を明らかにし,法律と国家の実践との間の矛盾を明らかにし,国際基準をどのように解釈し,更新し,施行すべきかについて重要な勧告を行う。

本書の6つの章はそれぞれ,表現の自由を抑制するために武器化されている法分野に焦点を当てている。各章では,侮辱的な言論(名誉毀損法や扇動法を含む),虚偽言論(誤情報やディスインフォメーションに関する法を通じて),憎悪の言論,国家安全保障に影響を与える言論(スパイ法・公安秘密法やテロ法の形で)に焦点を当てている。各章では,関連する国家の実践を概説し,国際人権法に存在する矛盾を明らかにし,改革のための分野を強調している。本書全体を通して,国家が反対意見を封じるために依拠する立法手段—伝統的に言論を対象としてきた扇動罪,反逆罪,侮辱罪に加えて,最近ではテロリズム,「虚偽報道」,その他の曖昧な法など—を示している。各章の最後にある提言は,同じ基準を自主的に遵守することを表明している国家とソーシャルメディア企業双方の実践と法的義務とのギャップを埋めることを目的としている。

これらの勧告は現在の基準に基づいており,メディア自由連合の「メディアの自由に関する法律専門家ハイレベル・パネル」を含む,世界中の著名な専門家らによって認められている。


https://global.oup.com/academic/product/freedom-of-speech-in-international-law-9780198899372?cc=jp&lang=en&

2024年3月1日

中国国際法雑誌(Chinese Journal of International Law)23巻1号

雑誌情報

【収録論文】

〇Ka Lok Yip「国際法のもとでの軍事同盟」(1-24)

〇Thanapat Chatinakrob「国際法とサイバー空間の相互作用:国家主権の侵害,領域外に対する影響,そしてサイバー主権のパラダイム」(25-72)

〇Seyfullah Hasar「政府承認とタリバンの事例」(73-122)

〇Yunqing Liu「国際慣習法の道筋の再検討:国際刑事裁判所の執行手続における非加盟国の公務員の免除」


コメント

〇Wang Yong and Pan Xin「公海上の環境ガバナンスにおける共通だが差異ある責任原則の適用」(151-184)


Letters

〇Atul Alexander「国際司法裁判所における,ガザ地区でのジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約の適用(南アフリカ対イスラエル)」(185-190)

〇Miłosz Gapsa「国際司法裁判所(ICJ)における南アフリカ対イスラエルの暫定措置命令の拘束力の拡大?」(191-196)

〇Daniele Musmeci「国連安全保障理事会による,ハイチにおけるギャング関連の暴力と武器密売に対処するためのターゲット制裁体制の採択」(197-202)

〇Yen-Chiang Chang and others「より良いバラスト水排出のイニシアティブ:協力の必要性」(203-206)


書評

「国際法秩序の再構築」「国際法とポスト・ヒューマン理論」「国際法における一方的制裁」



2024年3月1日

議会と裁判所における条約:2つの異なる声(Treaties in Parliaments and Courts: The Two Other Voices)

Felix Lange

書籍情報, 国際法と国内法

本書は,外交法と国際法の密接な関係を強調し,条約の,議会と国内裁判所への働きかけを研究の中心にしている。4か国(ドイツ,インド,南アフリカ,米国)において,様々な憲法規定が,議会と裁判所による条約へのアプローチに与える影響を時宜にかなって評価し,それによって有意義な比較法の要素を取り入れたものである。


著者は学術的な厳密さをもって,外交法に関する多様な概念が,どのようにして,議会が人権条約,国際刑事裁判所ローマ規程,気候変動条約を促進するものとして,形成するものとして,あるいは翻訳者として,ふるまうかどうかに影響するのかを実証している。著者は,国内裁判所が一貫した解釈や直接適用を通じて条約に依拠するような方法を分析するにとどまらず,条約条項をself-executingではないものとして退け,また愛好問題においてnon-justiciabilityの概念を用いる方法についても言及している。最後に,議会と裁判所の声はますます大きくなっており,さらに大きくなるべきだと提唱する。


本書は,法と政治,国際公法,憲法に関心を有している学者や学生にとって必読と言えよう。これらの分野に強い関心を持つ法実務家も同様に,本書で国際法と憲法の間に描き出されたつながりから,恩恵を受けることになるだろう。


https://www.e-elgar.com/shop/gbp/treaties-in-parliaments-and-courts-9781035324347.html

2024年2月26日

先住民族,海洋空間と資源,そして国際法:国際人権法と海洋法の相互作用(Indigenous peoples, marine space and resources, and international law : the interaction between international human rights law and the law of the sea)

Endalew Lijalem Enyew

書籍情報, 海洋法, 人権

本書は,国際法における海洋空間と関連海洋資源に対する先住民族の権利を取り上げる。


国際人権法と海洋法の両方における海洋空間と海洋資源に関する先住民族の権利を検証する本書は,海洋空間に対する先住民族の権利を認めるためのギャップとさらなるメカニズムの可能性を明らかにしながら,既存の法的枠組みを詳細に批判的に分析する。本書は3つの主要な問題を取り上げている。1)海洋空間と海洋資源に関する先住民族の権利を国際法がどの程度認識し保護しているか。2)海洋空間と海洋資源に関する先住民族の権利に関する海洋法と国際人権法が相互作用しているか,またどのように作用しているか。3)海洋法体制が,海洋空間と海洋資源に関する先住民族の権利を認識し実施する沿岸国の能力を制限しているか,またどの程度制限しているか。本書は,海洋先住民の権利がますます脅かされつつある状況下において,この分野における多くの既存の研究において現在重視されている理論的・方法論的アプローチを超えて、重要な批判的理論的・方法論的アプローチを展開している。


本書は,先住民族と法,国際法,海洋法,人権の分野の学者,研究者、実務家にお勧めです。


https://www.routledge.com/Indigenous-Peoples-Marine-Space-and-Resources-and-International-Law-The-Interaction-Between-International-Human-Rights-Law-and-the-Law-of-the-Sea/Enyew/p/book/9781032151595

2024年2月24日

国際刑事裁判所の管轄権(The Jurisdiction of the International Criminal Court)

Victor Tsilonis

書籍情報, 刑事

本書は,国際刑事裁判所(ICC)の管轄権に関する包括的な探求に取り組み,ローマ規程に定められた管轄権の3つの基礎的側面,すなわち,管轄権行使の前提条件(ICCローマ規程12条),中核的犯罪に関する実質的権限(同5条~第8条の2),補完性の原則(同17条§1(a))を解明する。


補完性の原則は,ICCの「究極的な管轄権」を理解する上で極めて重要であり,締約国が純粋に捜査や訴追を行うことができない,あるいは行う意思がないことを示した場合にのみ発動される。本書はさらに,裁判所の管轄権の「消極的になる条件」,特に免責特権(規程27条),安全保障理事会の付託による例外(同13条(b)および15条)について探求している。


学生,研究者,実務家を対象としたこの第2版は,ICCの管轄権に関する貴重な洞察を提供し,これまでの研究に特筆すべき貢献を果たしている。また,エコサイド,サイバー戦争,自動殺傷兵器,人工知能,ロシアのウクライナ侵攻から生じる法的複雑性など,国際刑事法の新たな分野にも言及している。


https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-46138-5

2024年2月22日

海洋生物試掘,生物多様性,海洋資源の新規利用:国際法における新たなアプローチ(Marine Bioprospecting, Biodiversity and Novel Uses of Ocean Resources: New Approaches in International Law)

Niels Krabbe, David Langlet (eds.)

書籍情報, 環境, 海洋法

海洋生態系と生物多様性に関する理解は深まりつつある。本書では,海洋に関する法制度とその国内実施に対する課題を探求している。また,生物試掘,漁業,深海鉱業,海運などの分野における発展にも取り組んでいる。


いくつかのケーススタディでは,遺伝資源,および海洋生物多様性に関する国連の新協定が,国家管轄権を超えた地域に及ぼす影響について論じている。専門家らが,解釈,確立された管理原則,制度的関係の問題に対する新たなアプローチを提案している。国際海洋法に範囲を限定することなく,国際環境法,知的財産権,国内法についても考察している。


本書は学術的な議論を広げ,海洋資源ガバナンスの分野で現在起きている急激な政策展開についてタイムリーな考察を提供している。法律家,NGO,政策立案者に歓迎されるだろう。


本書の電子書籍版は、bloomsburycollections.comにて,CC BY-NC-ND 4.0ライセンスの下、オープンアクセスで入手可能である。オープンアクセスは,イェーテボリ大学法学部より資金提供を受けた。


https://www.bloomsbury.com/uk/marine-bioprospecting-biodiversity-and-novel-uses-of-ocean-resources-9781509968275/



2024年2月20日

入門 国際法

大森正仁(著)

書籍情報, 基本書, 国際法一般

国際法の基本的な事項から現代的テーマまで幅広くおさえ、次の学びの段階へ進むための導入書。日々世界で生起する新たな事態に対応する国際法の全体像を、最新の情報をふまえてわかりやすく解説する。好評[Basic Study Books]シリーズ第2弾。


https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-04298-9

2024年2月14日

変化する世界における国連安全保障理事会と平和の維持(The UN Security Council and the Maintenance of Peace in a Changing World)

Congyan Cai , Larissa van den Herik, Tiyanjana Maluwa

書籍情報, 安全保障, 国際機構

緊張が高まり,グローバルな分極化が進み,国際的な法的・政治的秩序の根底にある原則が争われる時代において,国連安全保障理事会は国際の平和と安全の維持にどのように貢献できるのだろうか。3人の著者による本書では,地理的にも,法社会的にも,思想的に多様な背景を持つ専門家らが,安全保障理事会の歴史的発展,現在の機能と欠陥,決定的な緊張と将来の筋道について,それぞれの見解を示す。ここでは,3つのアプローチが互いに影響し合っており,それは,①新興のアクターとしての中国の役割を強調するパワー重視のアプローチ,②弱小国,仲でも特に安全保障理事会の選挙で選ばれた国がいかに影響力を行使し、法の支配の基準を強化しうるかを探求する制度主義の視点,③中心的アクターとしての安全保障理事会が国際の平和と安全の維持に向けていかに地域的組織と協力しうるかを探求する地域主義の視点,である。本書はケンブリッジ・コアでオープンアクセスである。


Un security council and maintenance peace changing world | Humanitarian law | Cambridge University Press

2024年2月10日

国際人道法:規則,論争,および戦時中に生じる問題の解決 第2版(International Humanitarian Law
Rules, Controversies, and Solutions to Problems Arising in Warfare, Second Edition)

Marco Sassoli

書籍情報, 人道法

国際人道法(IHL)分野の決定版となった教科書の第2版では,IHLの適用,敵に対する敵対行為のあり方,国際武力紛争と非国際武力紛争,文民と戦闘員につき,従来の区別の妥当性などを,本分野の第一人者であるマルコ・サッソーリが徹底的に分析している。

第2版では,著者の実務経験に基づき,捕虜を含む特定カテゴリーに属する人々を保護する規則や,さまざまな類型の敵対行為,破壊行為が違法であるか否かを決定する際の難題について論じている。重要なのは,ロシアとウクライナの武力紛争を考慮に入れたことであり,中立法の残滓について論じ,侵略の禁止と双方が尊重すべき人道的規則の厳格な分離を擁護している。新節では,障害者,包囲と人道的回廊,メディアの役割,宇宙空間におけるIHL,致死性自律型兵器システムに対する意味ある人間のコントロールといった概念との関連でIHLを探求している。

明快に構成されたこの新版は,国際人道法のすべての学生や研究者にとどまらず,人権や国際公法の研究者にとっても必読書である。軍事専門家やNGOの法律家,政府間組織で働く人々にとっても必携の書である。

2024年2月6日

気候変動問題と国際法

西村智明(著)

書籍情報, 環境

大規模な森林火災、記録的洪水、干上がる大型河川、海面上昇で沈む島嶼国…。

異常気象に襲われている我々人類に何ができるのか?


近年、世界各地の先進国・途上国にかかわらず深刻な自然災害や食料危機を引き起こしてきた異常気象問題。その背景には、産業革命以降急増したCO2排出による地球温暖化があるとされており、国際社会は共通の問題として積極的に排出削減行動を取り始めている。本書では、そうした気候変動に関わる条約制定の歴史や対応する国際機関、そして京都議定書・パリ協定など法制度の仕組みとその課題を分かりやすく解説した入門書である。


https://www.toshindo-pub.com/book/91795/

2024年2月1日

欧州国際法雑誌(EJIL)35巻1号

雑誌情報, EJIL

【収録論文】

〇Karen Knop「ポートレートを見る」(11-24)←ジェンダー法学関連

〇Luíza Leão Soares Pereira, Fabio Costa Morosini「国際法のメーカーおよびマーカーとしてのテキストボックス:ブラジルのケーススタディ」(25-62)

〇Artur Simonyan「ポスト・ソヴィエトユーラシアにおける国際法律家:分割可能性を解読する」(63-92)

〇Andrew Lang「『グローバルな無秩序』:グローバル経済のガバナンスにおける再帰可能性の実践」(93-140)

〇Emanuel Castellarin「模倣というのは本当にお世辞か?英国の貿易継続協定:Joris Larikへの返答」

ほか…。



2024年2月1日

国際海洋法・海岸法雑誌(The International Journal of Marine and Coastal Law)39巻1号

雑誌情報, IJMCL

【収録論文】

〇Maruf Maruf and Yen-Chiang Chang「人為的な水中騒音に対する鯨類と回遊性魚種の保護のための規制枠組みの強化」(5-38)

Ceciel Nieuwenhout and Liv Malin Andreasson「北海における人工エネルギー島の法的枠組み」(39-72)

〇Tingting Ni, Junghwan Choi, and Jiancuo Qi「東シナ海における国の義務:一方的活動と対抗措置」(73-99)

Eduardo Gracias Baptista「もどかしい島々:国連海洋法条約121条の文言主義的解釈からの考察」(100-131)

Stephany Aw「海底ケーブル修理における沿岸国の義務」(132-156)


Occasional Paper on Law of the Sea Scholarship

Irini Papanicolopulu「過去の学説における海洋法」(157-178)


最新の動向

Valentin Schatz and Sara Wissmann「欧州司法裁判所における民間操作救助船の港湾国家管理:Sea Watch Cases」(179-190)


書評

「援助を必要とする船舶、海難事故、難破船に対する沿岸国の管轄権」「海洋法:規範的な文脈と他の法体系との相互作用」「国際海洋法裁判所」「排他的経済水域における生物資源に対する沿岸国の管轄権」


https://brill.com/view/journals/estu/39/1/estu.39.issue-1.xml

2024年1月25日

Collective Self-Defence in International Law

James A. Green

書籍情報, 安全保障

集団的自衛権とは,武力攻撃の無辜の被害者である他国を助けるために,1または複数の国が軍事力を行使することと定義できる。しかし,集団的自衛権は濫用されやすい法的正当化事由であり,その行使は紛争をエスカレートさせる危険性がある。近年,集団的自衛権の主張件数はかつてないほど増加している。集団的自衛権の行使は,米国主導によるシリアでの行動(2014年~)の主な根拠となり,ロシアによるウクライナへの全面侵攻(2022年~)の際にも主張された。しかし,国際法における集団的自衛権の分析はまだほとんどなされていない。本書は,集団的自衛権の概念的性質とその運用の要件に関する様々な基本的かつ未解明な疑問に関する議論を決定的に進展させるものである。著者は集団的自衛権がかつてないほど発動されている現在,集団的自衛権についてこれまでで最も詳細かつ広範な説明をしている。


https://www.cambridge.org/core/books/collective-selfdefence-in-international-law/2A07579EB2AAA584D1A979CCAC06061A

2024年1月18日

中国と国際法のケンブリッジ・ンドブック(The Cambridge handbook of China and international law)

Ignacio de la Rasilla,Congyan Cai (eds.)

書籍情報, 国際法一般, 国際法と国内法

このハンドブックは,中国と国際法との関わり方に関する包括的なロードマップを提供し,混乱期における中国と西洋のアプローチの架け橋となる。中国と西洋の専門家らによって書かれた本書は,中国がいかにしてグローバルな法秩序に順応し,それに刻印を押しているかを検証している。中国と国際機関の関係,人権法,国際貿易法,海洋法,平和と戦争の法,国際刑事法,国際保健法,国際投資法,国際環境法,気候変動,国際テロ法,宇宙法,知的財産法,サイバー空間戦争,国際金融法, 国際紛争解決,領域紛争,一帯一路構想,人類の共有された将来の共同体,中国憲法,国際法の裁判への適用,主権免責,国際的な法の支配,中国の条約慣行,および中国法の域外適用に関する最新の研究が収録されている。


https://www.cambridge.org/core/books/cambridge-handbook-of-china-and-international-law/A6058DAE39796BFE4F1CB4FBEAA75DC1

2024年1月11日

国際法における領域の地位(Territorial Status in International Law)

Jure Vidmar

書籍情報, 国家

本書は,領域主義(territorialism)と領域の国際法的地位に関する新しい理論を展開する。本書では,(i)領土の概念を定義し,領域がどのように創造されるのかを説明し,(ii)国家という概念を再定義し,(国という基準ではなく)国という地位が国際法の公式の法源のもとで確立された領域の法的地位であることを説明し,(iii)国ではない領域の主体を国際法の法源のもとで根拠づけ,その国際的法的地位を説明する。この新鮮で新しい理論的視点は,学術的にも実務的にも重要であり,国際法および国内法の実際の適用において,意思決定者や裁判官を助けるツールを提供するものである。


https://www.bloomsbury.com/us/territorial-status-in-international-law-9781509959488/

2024年1月10日

国際法以後

最上敏樹(著)

書籍情報, 国際法一般

ロシアのウクライナ侵略、イスラエルによるパレスチナ占領、自治区ガザへの大規模攻撃。世界は国際法が堂々と破られるさまを見続けてきた。国際法はなぜこれほど無力なのだろう。しかし、国際法の実効性が脆弱なことは以前から明白であったし、そもそも国際法と呼ばれるものの中味も統一的ではない。にもかかわらず、そうした問題が真摯に議論されることはあまりなかった。本書が国際法を「奇妙な法」と呼び、国際法学を「奇妙な学問」と呼ぶのはそのためである。


とはいえ、国際法学の内部で国際法の批判的検討が皆無だったわけではない。それはマルティ・コスケニエミ、アンソニー・カーティ、ロザリン・ヒギンズ、デイヴィッド・ケネディらによって担われてきた。本書では、こうした研究者の議論を整理・検討し、その成果を糧とすることで、既存の国際法の〈後〉に来るべきものについて、筆者独自の展望を切り拓いている。


実効性なき国際法の構造的問題は、これ以上看過できないところまで来ている。国際法学の内部で批判が行われるだけでは不十分だろう。国際法の再構築は、決して法の専門家だけに委ねられるべき事柄ではないのである。


https://www.msz.co.jp/book/detail/09667/

2024年1月10日

障害者権利条約の初回対日審査

長瀬修,川島聡,石川准(編)

書籍情報, 人権

2022年9月、日本における障害者権利条約の実施状況について日本政府へ勧告(総括所見)が出された。その審査過程と総括所見を分析・評価し、日本の課題やあるべき姿を具体的に提起。第1部で権利条約の全体像と審査の仕組みを、第2部で各テーマを論じる。


https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-04307-8

2024年1月5日

国際法とポスト・ヒューマン理論(International law and posthuman theory)

Matilda Arvidsson, Emily Jones (eds.)

書籍情報, 批判法学

本書は,現代国際法が直面するいくつかの課題をよりよく理解し,それに取り組むために,ポスト・ヒューマン理論がどのように活用できるかを示すものである。


気候変動によって引き起こされる甚大な環境破壊,国際法関係者による人工知能利用の増加,国際法が植民地支配の過去を直視する必要性など,国際法は変化を必要としている。しかし,国家が主体として行動する安定した世界秩序を規制し維持するために,国際法の伝統的な源泉である国際法の制定方法,慣習国際法,歴史的判例,法の一般原則は,現代の課題に対処し,これからの未来を想像する能力を低下させる枠組みを作り出している。これに対して本書は,ポスト・ヒューマン理論が現代の国際法が直面する課題によりよく対処するために利用できると主張する。環境法,海洋法,植民地主義,人権,紛争,科学技術の影響など,さまざまな現代的主題を網羅する本書は,ポスト・ヒューマン理論と国際法に関する新たな研究を一冊にまとめた初めての書である。


ポスト・ヒューマン理論の第一人者である著者が,国際法の中心的な議論にポスト・ヒューマンを取り入れた本書は,国際法を専攻する学生や研究者のみならず,ポスト・ヒューマン思想,テクノロジー,植民地主義,生態学に関心を持つ学者,社会法学的理論家やその他の人々にも最適な情報を提供するものである。


https://www.routledge.com/International-Law-and-Posthuman-Theory/Arvidsson-Jones/p/book/9781032044040

2024年1月1日

アメリカ国際法雑誌(AJIL)118巻1号

雑誌情報, AJIL

【収録論文】

〇Rabiat Akande「国際法における人種・宗教の帝国史」(1-40)

〇Madeline Gleeson「CEDAWの変革の可能性を解放する:女子差別撤廃委員会におけるAsylum case」(41-97)

〇Kathleen Claussen, Chad P. Bown「条約による企業のアカウンタビリティ:北米の新たな労働即応メカニズム(98-119)

〇Charles Chernor Jalloh「国際法委員会の第74回会合(2023):法の一般原則および他のトピック」(120-144)

〇Annamaria Viterbo「イランの特定資産事件(イラン対米国)」(145-153)


ほか。

https://www.cambridge.org/core/journals/american-journal-of-international-law/issue/2ABECC712EA5C27FEA67E79158FF7D23

2024年1月1日

証拠を武器にする:国際法におけるたばこ規制の歴史(Weaponising evidence : a history of tobacco control in international law)

Margherita Melillo

本書は,タバコ規制に関する国際法の歴史を分析したものである。証拠の活用,産業界や市民社会の役割について重要な考察を提供している。グローバルヘルス,国際環境交渉,貿易・投資訴訟に関心のある読者にお勧め。


https://www.cambridge.org/core/books/weaponising-evidence/D05ECC1916CEB4E322AADC58C70305BC

国際貿易協定における持続可能性の革命(The Sustainability Revolution in International Trade Agreements)

国際裁判の実務:学際的視点から(International Sanctions in Practice: An Interdisciplinary Perspective)

国際的な犯罪人引渡しの改革:公正,個人の権利,および正義(Reforming International Extradition: Fairness, Individual Rights and Justice

欧州における国際法に関するオックスフォード・ハンドブック(The Oxford Handbook of International Law in Europe)

国の資本主義と国際投資法(State Capitalism and International Investment Law)

Gabrielle Marceau, Georgios Dimitropoulos, Panagiotis Delimatsis

国際法の事例と資料 第7版(Cases & Materials on International Law 7th ed.)

政治的共同体としての国家性:国際法と新国の出現(Statehood as Political Community: International Law and the Emergence of New States)

Alex Green

書籍情報, 国家

Alex Greenは,2つの抽象的な条件が満たされた場合にのみ,現代国際法のもとで国が成立すると主張している。第1に,新国は「真の政治的共同体」を構成していなければならず,この共同体の中では,倫理的に価値ある特定の種の行動をとることができる。第2に,そのような共同体は,個人の政治的行動の倫理的重要性と矛盾しない形で生じていなければならない。このユニークな「グロティウス的」国家創設論は,4つの実際の「先行条件」と,5つの手続的原則からなる,明確な法的枠組みを与えるものであり,これが国家創設の方を一貫的にし,また規範的に魅力的なものにする。


https://www.cambridge.org/gb/universitypress/subjects/law/public-international-law/statehood-political-community-international-law-and-emergence-new-states?format=HB&isbn=9781009176323

海上移民への対応と法の支配(Responses to Sea Migration and the Rule of Law)

国際法と公衆:一般市民はいかにしてグローバルな法秩序を形成するか(International Law and the Public – How Ordinary People Shape the Global Legal Order)

リーガリズムの承認:国家責任の歴史(Merchants of Legalism:A History of State Responsibility)


Alan Tzvika Nissel

Since the United Nations finalised its Draft Articles on the Responsibility of States for Internationally Wrongful Acts in 2001, most of the attention has been on the codification history of the topic. Alan Nissel widens the historic lens to include the pre-United Nations origins, offering the first extensive study on the American contribution to the modern law of state responsibility. The book examines the recurring narrative of lawyers using international law to suit the particular needs of their clients in three key contexts: the US turn to international arbitration practice in the New World, the German theorisation of public law in the setting of its national unification, and the multilateral effort to codify international law within world bodies. This expanded historical framework not only traces the pre-institutional origins of the code, but also highlights the duality of State responsibility doctrines and the political environments from which they emerged.


https://www.cambridge.org/core/books/merchants-of-legalism/1FCD0D6109E0F321BADF264E2376D731

欧州国際法ジャーナル35巻2号(European Journal of International Law, vol. 35 (2))

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