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国際法勉強会
海の憲法――国連海洋法条約への長く困難な道(A ‘Constitution for the Oceans': The Long Hard Road to the UN Convention on the Law of the Sea)
Kirsten Sellars
1982年に署名された国連海洋法条約(UNCLOS)は、半世紀にわたる法的努力の集大成であった。それ以前にも、1930年の国際連盟会議、1958年および1960年の国連会議において、海洋を規律する条約体制を確立しようとする試みがなされたが、領海の幅をめぐる合意には至らず、二度にわたって完全な決裂を迎えた。
交渉の過程で、多くの法的概念が新たに生み出され、または変容した。例えば、直線基線の概念が群島基線へと発展し、漁業保護区は排他的経済水域(EEZ)へと進化した。また、海峡における無害通航は通過通航に置き換えられ、海底の「人類共通の遺産」という原則は、海底資源の並行制度(parallel system)へと変化した。
UNCLOS交渉で議論された多くの問題は、海洋汚染、乱獲、海軍の航行の自由、大陸棚の権利主張、海底採掘の影響といった形で、現在もなお政策立案者や法学者を悩ませ続けている。
【目次】
旧秩序の終焉――領海に関する条約制定の試み
旧来の自由、新たな権利――コルフ海峡事件と漁業事件
北・南・東・西――1958年会議における新たな発想と新たなアクター
崩壊した会議――1960年、領海および漁業制限に関する合意なき決裂
海底の国際化――「人類共通の遺産」と国連海底委員会
海峡通航――1973~82年会議における無害通航から通過通航への転換
群島概念――分断・統合・群島国家の確立
新たな国際秩序――排他的経済水域、大陸縁辺、海洋科学調査
苦難の果て――海底採掘をめぐる対立と条約の署名
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