国際法勉強会
社会主義と国際法(Socialism and International Law)
Raluca Grosescu, Ned Richardson-Little (eds.)
社会主義思想家および国家による国際法の発展への貢献は,しばしば見過ごされてきた。『社会主義と国際法――冷戦とその遺産』は,東欧,アフリカ,およびアジアの社会主義者や政府が今日の国際法の実践にどのように重要な貢献を果たしたのか,さらにその歴史において重要な転換点をもたらした思想や提案をどのように提供したのかを探究する。
20世紀の社会主義世界は曖昧で脆弱な構造であった。ソ連主導の東側諸国は西欧中心主義的伝統を一部継承する一方で,脱植民地化を果たしたアフロ・アジア諸国を中心とする急進的第三世界は,国際秩序へのより根本的な挑戦を展開した。このように,社会主義世界は一枚岩ではなく,複雑で動的な空間であったが,それでもなお国際情勢や法の意味に関して多くの共通理解を共有していた。
本書は,各国の社会主義イデオロギー,法原則,および現実政治が現代の国際法の枠組みにどのような影響を与えたかを検証することによって,既存の線形的で西洋中心的な歴史観に異議を唱えている。社会主義国家の関与を自由主義的および西洋的アプローチとの対話の中で考察し,地域ごとの社会主義のバリエーションや南北間の分断を浮き彫りにする。本書は,社会主義的国際法の遺産とその失敗の影響が今日もなお続いていることを指摘する。
冷戦とその後の時代に焦点を当てた『社会主義と国際法』は,国際法に適用された社会主義原則の歴史的および現代的影響について,世界各国から集まった著名で多様な寄稿者による鋭い分析を提供している。
https://global.oup.com/academic/product/socialism-and-international-law-9780198920175
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