国際法勉強会
武器貿易と国際刑事法――共犯的武器供給者の責任再考(The Arms Trade and International Criminal Law: Reframing Accountability for Complicit Weapon Suppliers)
Tomas Hamilton
本書は、国際刑事裁判所(ICC)の時代において、グローバルな武器貿易がどのように責任追及と交差するかを詳細に分析する。企業経営者、国家当局者、武器密売人を含む個人が、武器供給の責任を国際法の下で直接問われ得ることを主張する。武器貿易の複雑さと共犯責任の法理を検討しながら、国際司法制度が軍事・政治指導者の起訴に偏重し、虐殺のより構造的な原因を見過ごしている点を指摘する。
さらに、現在の「武器貿易法」(国連武器禁輸措置、武器貿易条約(ATT)、EU共通立場)の問題点を分析し、それらが加害者への武器供給を防止できず、実質的な責任追及にも至っていない現状を批判する。本書は、国際刑事法が既存の輸出規制を補完し、特に虐殺によって利益を得る武器商人を非難する起訴を通じて、その役割を果たせると論じる。
本書では、ローマ規程第25条に基づく共犯の**行為要件(actus reus)および精神要件(mens rea)**の具体的な解釈を提示し、ICCが武器商人を起訴するための法的基盤を提供する。また、ICC内部の制度的な姿勢がこうした起訴を妨げている要因を考察し、裁判官や法律家の視点を評価するために、インタビュー、参与観察、実証研究の手法を用いる。第二次コンゴ戦争およびコンゴ民主共和国(DRC)におけるICCの捜査事例を取り上げ、見過ごされてきた機会を検証する。
本書は、ローマ規程の使命をより広範に活用し、国際犯罪に関与するあらゆる主体が責任を問われるよう求める提言をもって締めくくられる。
1 序論
2 輸出規制の補完としての刑事責任
3 「武器貿易法」と国際司法の可能性
4 共犯的武器移転の客観要件(Actus Reus)
5 共犯的武器移転の主観要件(Mens Rea)
6 武器貿易に関するICCの法文化の観察
7 ICCの事件選択における武器貿易の位置付け
8 第二次コンゴ戦争における武器貿易の捜査
9 コンゴ民主共和国(DRC)におけるICCの捜査と見過ごされた武器仲介者
10 結論